【プロが解説】:連結散水設備×屋内消火栓の兼用ルール|省スペース化の裏技と注意点とは?

建物の設計や改修工事の際、「天井裏やパイプスペース(PS)が狭くて、配管を収めるのが大変だ」と頭を抱えることはありませんか?

特に、消防法で設置が義務付けられている「連結散水設備」や「屋内消火栓設備」は、どちらも太い配管を必要とするため、スペースの確保が大きな課題になりがちです。


また、配管が2系統あれば、その分だけ材料費や工事費といったコストもかさみます。

「似たような消火設備なのだから、配管を1本にまとめて兼用(共有)できないのだろうか?」

そんな疑問を持つオーナー様や現場ご担当者様も多いはずです。


この記事では、複雑になりがちな消防法の規定をひも解き、「連結散水設備と屋内消火栓設備の配管兼用」について、その可能性とメリット、そして絶対に守らなければならない条件について分かりやすく解説します。


目次

■結論:連結散水設備と屋内消火栓の配管は「兼用可能」

■配管を兼用することのメリット

■安易な判断はNG!兼用するためにクリアすべき条件

■「兼用設備」特有の落とし穴!プロが見る運用リスク

■大阪・兵庫・京都の消防設備工事は「株式会社 森田設備」へ

■まとめ




■結論:連結散水設備と屋内消火栓の配管は「兼用可能」

いきなり核心からお伝えしますが、消防法において**「連結散水設備の配管と、屋内消火栓設備の配管を兼用(共用)すること」は認められています。**


そもそも、この2つの設備は役割こそ違いますが、「水を使って消火する」という根本的な仕組みは共通しています。


屋内消火栓設備:建物内にいる人が初期消火を行うための設備。水源(タンク)やポンプは建物内にあり、そこから水を供給する。


連結散水設備:消防隊が到着した後、消防ポンプ車から送水して消火活動を支援する設備。本来の水源は外部(消防車)にある。


これらは別々の設備として独立して設置するのが原則ですが、消防法施行規則において「支障がないと認められる場合」において、配管の一部を兼用できる旨の規定が存在します。

ただし、「無条件でつないでも良い」わけではありません。正しい知識を持たずに接続すると、いざという時に水が出なかったり、逆流してポンプが故障したりする重大な欠陥設備になってしまいます。




■配管を兼用することのメリット

厳しい条件の話をする前に、まず「なぜ苦労してでも兼用にするのか」、そのメリットを確認しておきましょう。



・1. 工事費(コスト)の大幅な削減

配管を別々に2系統敷設する場合に比べ、1系統にまとめることができれば、単純に配管材料(鋼管や継手)の量を減らすことができます。また、それに伴い支持金具の数や保温工事の手間も減るため、全体的なコストダウンにつながります。



・2. スペースの有効活用

建物のパイプスペース(PS)や天井裏は、電気配線、空調ダクト、給排水管などがひしめき合っています。特に都心部のビルや既存建物の改修工事では、スペースの余裕が全くないことも珍しくありません。

太くて場所を取る消火配管を1本化できれば、他の設備を通すスペースを確保でき、設計の自由度が上がります。



・3. 美観の維持

露出配管(配管が見える状態で設置する場合)において、天井を這う配管の本数が減ることは、空間をすっきりと見せる効果もあります。




■安易な判断はNG!兼用するためにクリアすべき条件


メリットは魅力的ですが、実際に兼用施工を行うためには、技術的・法的なハードルを越える必要があります。主な条件として、以下の3点は最低限理解しておく必要があります。



・条件1:屋内消火栓設備の種類に注意

一般的に、兼用が検討しやすいのは「湿式」の屋内消火栓設備と、「湿式(閉鎖型)」の連結散水設備の場合です。乾式など、特殊な方式の場合は配管内の常時加圧状況が異なるため、システムが複雑になります。



・条件2:配管口径と水利計算

「配管をまとめる」ということは、それだけ大量の水がその1本の管を通る可能性があるということです。

もし連結散水設備と屋内消火栓を同時に使用した場合でも、十分な水量と水圧が確保できるように、「摩擦損失計算」を行った上で、適切な「配管口径(太さ)」を選定しなければなりません。単に既存の管につなぐだけでは、容量不足になるリスクがあります。



・条件3:送水口とバルブの構成

連結散水設備は外部からの送水を受け入れ、屋内消火栓は内部から送水します。この2つの流れが混在するため、水が予期せぬ方向に逆流しないよう「逆止弁(チャッキバルブ)」を適切な位置に設置する必要があります。

また、屋内消火栓の水が空っぽになった際、消防隊が外部から水を補給できるようにする等の措置も求められます。




■「兼用設備」特有の落とし穴!プロが見る運用リスク


ここまで「条件さえ満たせば兼用は可能で、メリットもある」とお伝えしましたが、私たち消防設備のプロの視点からすると、兼用設備には施工後の運用やメンテナンスにおいて、単独設備にはない特有のリスクが存在することも事実です。


コストダウンだけを目的に安易に導入すると、後々思わぬトラブルに見舞われることがあります。



・トラブル時の原因特定が困難

配管を共有しているため、もし「水圧が上がらない」「どこからか水漏れしている」といった不具合が起きた際、原因が連結散水側にあるのか、屋内消火栓側にあるのかの切り分けが難しくなります。

複雑なバルブ操作や逆止弁のチェックが必要になり、経験の浅い点検業者では不具合を見抜けないケースも考えられます。



・改修工事の自由度が下がる

将来、どちらか一方の設備だけを更新したり、テナントの変更に伴うレイアウト変更で配管を移動したりする必要が出た際、兼用していることが足かせになります。

片方を止めるために、建物全体の消火設備を一時停止させなければならないなど、改修計画が複雑化しやすい点は覚えておくべきでしょう。



・法改正への対応

消防法は過去の災害を教訓に改正が重ねられます。

現状の法律ではOKでも、将来的に基準が変わった際、複雑に絡み合った兼用設備は、新基準に適合させるための是正工事が大掛かりになる可能性があります。


こうしたリスクを最小限に抑えるためには、「ただ配管をつなぐ工事」ではなく、「将来のメンテナンスや法適合まで見据えた設計」ができる業者選びが何より重要です。




■大阪・兵庫・京都の消防設備工事は「株式会社 森田設備」へ


連結散水設備や屋内消火栓設備の設置・改修、あるいは配管兼用の可否判断など、専門的な知識が必要な案件は、ぜひ株式会社 森田設備にご相談ください。



・創業30年以上の実績と信頼

当社は平成5年の創業以来、大阪府高槻市を拠点に、マンション・オフィスビル・商業施設など数多くの現場で消防設備の点検・工事を手掛けてきました。

特に今回のような法規が絡む複雑な工事においても、豊富な経験とノウハウを持ったスタッフが、コストと安全性のバランスを考慮した最適なプランをご提案します。



・自社施工によるコストメリットとスピード感

設計から施工、そしてメンテナンスまでを自社一貫体制で行っております。

間に他社が入らないため、意思疎通がスムーズで工期の短縮につながるだけでなく、中間マージンを省いた「適正価格」でお客様のコスト削減ニーズにお応えします。



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特定建設業許可を有しており、大規模な修繕工事や新築工事にも対応可能です。行政との協議や消防検査の立ち会いなど、面倒な手続きもすべてプロである私たちにお任せいただけます。


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■まとめ


この記事では、オーナー様や管理者様からよくご質問いただく「連結散水設備と屋内消火栓の配管兼用」について解説しました。


結論:条件を満たせば兼用は可能であり、コスト削減やスペース確保のメリットがある。


注意点:配管口径の計算やバルブ位置など、厳格な技術基準をクリアする必要がある。


リスク:構造が複雑になるため、経験豊富なプロによる施工とメンテナンスが不可欠。


安易に「コストが下がるから」と兼用を選ぶのではなく、建物の構造や将来の運用まで考えて判断することが大切です。


大阪府全域、兵庫県南東部、京都府南部エリアで、消防設備に関するお困りごとや、既存設備のリニューアルをご検討の方は、まずは株式会社 森田設備までお気軽にお問い合わせください。

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